5.位相差顕微鏡の世界
気分がわるくなる場合があります。
1.位相差顕微鏡はホームケアを動機付けるための「びっくり箱」か?
現在、歯科医院における位相差顕微鏡のあり方はプラークや歯周ポケットなどの細菌を患者さんに見せることによってインパクトを与え、ホームケアを動機づけるための「ビックリ箱」と化しています。これでは位相差顕微鏡がもっている本来の機能や性能を臨床面において十分に活用しているとはいえません。
2.位相差顕微鏡は生物、医学分野の進歩をもたらした功績によりノーベル物理学賞を受賞
そもそも位相差顕微鏡は1932年にオランダ人の研究者Frits (Frederik) Zernikeによって発明され、この光学装置が生物、医学分野の研究に著しい進歩をもたらした功績により1953年にノーベル物理学賞を受賞しています。通常の顕微鏡では透明な細胞や細菌を観察することは不可能です。そこで、これらを染色しますが、その際に細菌や細胞は損傷を受けたり、死滅します。そこで染色せずに「生きたままの状態」で細菌や細胞などが観察できる光学装置として位相差顕微鏡が発明されたのです。
3.治療は仮説より、病巣部の生きている多種多様な細菌情報が基本
生きたままの細菌を観察できる位相差顕微鏡は診断や治療効果の判定に必要な細菌情報をリアルタイムタイムで知ることができるために精度の高い診断や客観性の高い治療が可能になります。ただ、使用法は従来の顕微鏡観察と目的が違い、また動いている細菌を観察しますので臨床面での利用は時間的な制約もあり訓練は必要になります。FDCでの位相差顕微鏡検査は歯周病、むし歯の病巣と培養標本などを含め13年間で約4,1000検体(2016年9月30日現在)になります。
4.「むし歯」と「歯周病」の治療は位相差顕微鏡と細菌情報が不可欠
ミクロサイズの動き回る細菌から得られた大量の位相差顕微鏡検査データは難症例における従来の治療仮説の問題点を明確にしています。FDCでは「細菌情報」に従った診断や治療、あるいは投薬を行なうことにより信頼性の高い治療が可能になっています。以下に位相差顕微鏡によって観察された細菌や白血球の活動を示しておきます。微細な生物が我々の想像する以上に活発に活動しながら身体に寄生し私たちのエネルギーを奪っている存在であることがお判りになると思います。 また、加齢や持病によって白血球が期待ほど病巣部では活動していない状態も一目瞭然です。
5.細菌ならびに関連画像を提供する目的について
細菌の動画をはじめてご覧になった方は気持ち悪い、なんというデリカシーにかける歯科医院だろうと思われたかもしれません。もちろんFDCの患者さんも最初はHPをご覧になっている方と同じ気持でした。しかし、現在では位相差顕微鏡装置の画面をながめながら治療前、後の細菌の制圧(溶菌・除去)状態を私たちと一緒に検討しています。また、新しい口腔衛生グッズを購入された時や、自分で工夫された清掃法が実際、どの程度細菌をやっつけることができているのかを細菌の死滅や活動状態を観察することによってグッズや清掃法を評価されています。
なぜ、細菌のような気持の悪い生き物を見続けることができるのかですが、その答は簡単です。患者さんはいろんな検査によって得た細菌情報をFDCと共有し、細菌に対して常に優勢に立ち、いつでも制圧(溶菌・除去)することができるからです。自分の歯や歯周組織を侵襲し破壊している細菌を可視化することなく、イメージや言葉だけの抽象的なとらえ方では、いつまでたっても細菌の支配から逃れることができず「むし歯」や「歯周病」の連鎖を断つことはできません。
歯科医まかせの依存体質では今の状況を改善するどころか加齢によって病状は悪化致します。「むし歯や歯周病は患者さん自身の問題」です。歯科医の治療に協力し、確実なホームケアで応援して戴く必要があります。 そのためには目前の細菌に眼をそむけず、一緒に戦っていただければ、この細菌のおぞましい姿は画面から必ず消滅いたします。「むし歯」や歯周病の原因となる敵である細菌を良く知ること、このことが「う歯」や歯周病から解放されるための第一歩です。そのためにFDCは細菌の動画を公開しています。
6.歯科疾患細菌の位相差顕微鏡像
1.感染症である歯科疾患の治療に際して最も必要な情報は病巣部の【細菌情報】です。
2.故に、病巣部の【細菌情報】なくして「診断論理」や「治療理論」は成立しない。
3.多種多様な細菌群と宿主(人間)免疫力の力関係によって成立する「う歯」や歯周病の治療効果は【細菌情報】によって判断致します。
「う歯」や歯周病の治療、あるいは予防について一般論で議論されている方は以下の動画から細菌の生態や免疫細胞の挙動をご覧になり、歯科疾患の多様性を認識して戴きたいと思います。