10.FDC式高規格補綴

1.FDCの高規格補綴修復技術は

FDC修復技術のコンセプトは「ロジック」と「感性」です。

失われた咀嚼機能をありふれた材料によって定型的に補うだけでは単なる修理に過ぎません。

このような情熱のないパーツを人間の身体に装着するだけでは本当の咀嚼機能は回復できず、歯を失った負い目を修復することはできないでしょう。

FDCの修復技術の究極的な目的は患者さんに希望と生きる自信を与えるものでなければならないと考えています。

科学的な「ロジック」に基づいたキーテクノロジー、歯科医の研ぎ澄まされた「感性」とベテラン技工士の匠の技が渾然一体となった時、初めて「姿なき命」が人工物に吹き込まれ、物からアートに昇華し身体の一部と化します。

この職人集団によってつくられた修復物が患者さんの咀嚼機能を果たすだけでなく、我々の思いである「姿なき命」によって人生の様々な場面において生きる希望と元気を生み出してくれるものと考えています。

困難であっても、このような理想的な作品づくりに取組むことによって我々も成長することができると考えています。

2.FDCブランドをささえる品質管理技術

高品質の義歯づくりは製造技術に加えて技工物を客観的に評価、 検査をする品質管理技術が必要です。

FDCの品質管理システムは製作の 各工程で設計仕様どうりに製作されているか、また要求スペックに定められた 強度などの諸条件を満たしているか、などを金属レントゲン検査などの 多様な検査方法で点検致します。

この検査システムはFDCが永年にわたり独自に開発致しました検査技術です。

【主要構造体の金属レントゲン検査】

肉眼では金属の内部構造を検査することができません。そこで金属レントゲン撮影装置によって 義歯の主要構造である鋳造金属床に鋳造巣が生じていないか、また、 強度的な問題点がないかなどを2種類の電圧によって精密に検査致します。

Photoー1:主要構造体のレントゲン検査(1)

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左側の金属床では上部の前歯部の黒い部分(黄色矢印)に強度上の問題があります。
同様に右側の冠の場合も黒い部分(黄色矢印)は強度不足です。


Photoー2:主要構造体のレントゲン検査(2)

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先の例のように黒い部分はなく、強度上は問題なく鋳造検査合格です。

Photoー3

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3.歯科医の感性と美意識を忠実に再現できる匠の技

FDCは歯の欠損を修復するだけでは患者さんの満足は得られないと考えます。

義歯製作は単なる物作りでおわるのではなく機能性をもたせながら患者さんの 個性美をたかめるアートでなければならないと考えています。

Photo−5.1.
コンピュータ支援システムによる
正確な技工設計

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Photo−5.2.
顕微鏡を用いたミクロサイズの
精密作業

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その実現には歯科医の感性と研ぎ澄まされた美意識、それを感じとり高い スキルによって具現化できる歯科技工士の匠の技が必要です。歯科医と 歯科技工士による息のあったコラボレーションの結果が美しく上品な笑顔を創り出すのです。

FDCは患者さんが元気なときだけでなく、気分が沈んだ時でも鏡の中で 微笑むと生きる勇気がわいてくるような義歯を作り続けたいと努力しています。

次の写真はFDCブランド義歯をご愛用の患者様です。

(ご本人よりHP掲載のご了承を得ています)

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写真撮影時はご機嫌斜めでした。

Photoー7

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笑顔がすべてを物語っています。

4.咀嚼筋や顎関節にもやさしい

見た目が美しいのですが咬むと安定が悪く十分に咀嚼できない義歯があります。

このような義歯を使用し続けていますと対合する歯や顎堤にさまざまなトラブルが生じます。 さらに咀嚼筋の違和感や疲労だけでなく首や肩まで凝ってきます。

咀嚼筋に無理をかけ続けますと当然、顎関節にまで悪影響を及ぼします。

FDCブランド義歯の製作は検査食品や好物を咀嚼しながら筋電図検査を はじめとする臨床工学検査を行ないます。そしてこれらのデータを参考に患者さんの ご希望や噛み癖を考慮にいれた義歯を製作致します。このように総合的な機能性を 重視した義歯づくりですから咀嚼筋や顎関節への負担は著しく軽減されます。

4−1.咀嚼筋電図検査(EMG)について

(1).なぜ、咀嚼筋の筋電図検査は必要か?

  • 義歯の装着による患者さんの多様な悩みや苦痛

    義歯をはじめて口腔内に装着いたしますと今までの咀嚼システム(顎関節をはじめ咀嚼筋や中枢神経ネットワークなど)の恒常状態が乱れます。具体的な症状としては装着後の粘膜の痛みや咀嚼の不具合、あるいは咀嚼筋の痛み、顎関節の疲労に加えて、うつ状態など心身両面にわたる様々な問題が生じます。

  • 「咀嚼リハビリテーション技術」とは?

    義歯装着後の新しい咀嚼システムを再構築し、円滑に機能させるためには、このような欠損歯の修復後に発生する諸問題を心身の両面から解決する技術が「咀嚼リハビリテーション技術」です。この技術の難しい点は義歯装着による影響が咀嚼システムの@骨、筋肉組織や末梢神経組織だけでなく、A脳中枢神経を介して各組織相互間に干渉するため複雑多様な症状に対応しなければならないということです。

    「咀嚼リハビリテーション技術」は義歯だけが対象ではなく、いろんな原因による咀嚼困難を解決する技術です。

  • 「咀嚼リハビリテーション技術」を支える「臨床工学技術(クリニカル・エンジニアリング」

    バランスを失った咀嚼システムを「新しい咀嚼システムへと導くため」には咀嚼運動に関連する各組織から@「異常を検出」する作業と、この原因を見つけ出しA義歯の調整作業などによってシステム全体の整合性をはかる事が必要です。

    最も効率的で正確な方法は「臨床工学技術」によって咀嚼に重要な役割を果たす咬筋や側頭筋の内部で発生する筋電位を計測することによって「見える」ように変換して原因を探っていく方法」です。

  • 「咀嚼リハビリテーション技術」を支える「臨床検査室」

    科学的な臨床を実現するためには技術に加えて「設備と装置が必要」です。FDCは人体の微弱な電気信号を検出するために携帯の電波のような電子ノイズをすべて遮断可能な鉛で囲まれた「シールドルーム」の設備があります。筋電図検査はこのシールドルームに備え付けられている高感度「脳波計」を応用して測定します。

  • 信頼性の高いリハビリテーション技術には医用電子機器の支援が必要

    電子ノイズから遮断されたシールドルーム内で脳波計は1μV(1/1,000,000V)単位で身体に生じる微弱信号を測定することができます。高性能の脳波計では咀嚼時に発生する咬筋や側頭筋内の筋電位の変化を簡単に観察することができます。この筋電図検査によって感覚や経験だけでは判断できない咀嚼筋の時系列的に微細な変化いたしますので患者さんの訴えをより具体的に掌握でき客観性の高いリハビリテーション作業が可能になります。

さらにFDCではこれらの検査データをデータベース化し咀嚼筋の機能診断、あるいは義歯の術前、術後の治療評価などに役立たせています。

咀嚼筋を測定する際には場合にはインピーダンス調整を行います。

2.筋電図検査の利用例

筋電図検査の所要時間は30分ほどで終了し、検査中や検査後の痛みはございませんので安心して受診して下さい。

筋電図検査は自費です。

  • 義歯使用時の咀嚼筋活動観察
  • 義歯作製前と装着後の咀嚼筋活動状態の比較
  • 歯周病による咀嚼困難がもたらす咀嚼筋への影響観察
  • 顎関節症(TMJ)診断
  • 脳血管疾患の後遺症による咀嚼筋機能障害の診断

なお、これ以外に咀嚼に関する多様な検査に実施しています。


Photo−8.咬筋の筋電図測定(右側)

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Photo−9.咬筋の筋電図測定(左側)

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好物の煎餅を左右にわけて噛みながら測定したもの。 患者自身さんは左右は同じように噛めている印象でしたが、 筋電図を検討すれば左側の咬筋の状態に比較して右側の筋肉は無理な負担もなく 規則正しく使用されていることがわかります。見えない咀嚼筋の活動状態を筋電図で 視覚化することによってはじめて高度な義歯づくりが可能になります。

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他院で義歯を作製、噛む度に顎の疲れがとれないために、 別の医院で処置するも改善せず紹介され当院を受診。 筋電図から左側筋肉のテンションを確認、原因の処置をおこなった結果、 症状は消失。筋電図を測定することにより患者さんの訴えが精神的なものか、 筋肉・神経系によるものかを明瞭に区別する事が可能になり、 また患者さん自身も確認することができます。

5.発音の悩みも解消

義歯を装着後、会話や電話中に発音が聞き取れないために何度も 聞き返されるので会話がおっくうとなり、人知れず悩まれている患者さんが意外におられます。

また、このような発音の悩みは取り外しの義歯に限らず前歯のブリッジを装着後、 以前より外人とのビジネス交渉で不自由な思いをするなどの相談もあります。

これらの義歯による発音障害は患者さんの心理に暗い影をおとすだけでなく、 社会生活にも支障をきたします。しかし現行の歯科保険制度では、このような義歯に よる発音障害は給付の対象となりません。しかし、FDCでは早くから義歯に よる発音障害解決のための技術研究に取り組んできました。現在では義歯作製前に 患者さんの音声を記録し、電子計測機器により音声の周波数解析を行ない、 この音声パターンに近づけられように義歯を製作しています。また、新義歯を作成した後も 患者さんにできるだけ発音に自信をもって戴くように音声のリハビリテーションも実施しています。

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この患者さんは現在、装着中の義歯でサ行の発音がしづらく電話や会話で度々聞き返されるなど、
日常的な不自由さを感じられていました。今回は音声周波数の解析を行ないながら作成したため
装着後は記録波形にも見られるように発音が明瞭になり電話であっても【話者認識】が容易となった。

6.顎や咀嚼筋の変化にも対応します。

顎や歯の状態は変化していくので何年か経つと義歯が使用できなくなる。だから自費の義歯などは無駄、 という意見があります。この意見には説得力がありそうですがFDCの患者さんは同意しないでしょう。たしかに変化しない万物はありません。

しかし、この考えを歯科という科学の世界に安易に持ち込むべきではない、と思います。なぜなら、 このような意見の多くは不十分な治療の上に経験と勘に頼って製作された義歯の使用経験に基づいているからです。

口腔内のエージングに対する生物学的変化を配慮し、合理的な機能設計ができる歯科医と高規格の歯科材料を操り、 要求スペックを実現するスキルの高い歯科技工士とがコラボレーションすれば10年以上の使用など常識といえます。

なぜ、このような差が出るのかといえば義歯製作にあたって多様な生物学的データの収集と、 臨床工学技術を応用した義歯づくりをしないからです。例えば顎堤の骨の状態はCT撮影で、 噛合わせの状態には高感度の電子計測器による咬合圧分布測定や咀嚼筋の筋電図波形の解析が必要です。 また歯に対してもむし歯や歯周病の細菌コントロール。複雑多様に変化する口腔環境を科学的に分析し、 予測をたてた後、製作されたものと現状をアバウトにとらえ経験と勘だけで製作し、 不都合が生じれば身体の神秘性を強調するような考え方で製作されたものでは比較にならないのは自明です。 21世紀の義歯づくりはクリニカル・エンジニアリング臨床工学技術に基づいて製作されるべきだと考えています。

FDCの技術ノウハウで作製された義歯は経年変化も極めて少なく、少しの修正処置で永く使用できます。

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7.FDCブランドの義歯は製作年度が刻印されています

FDCブランドの義歯は45年間の臨床経験とクリニカル・エンジニアリング(臨床工学技術)に よって培われた独自の技術的ノウハウにより長期間ご使用戴ける信頼性の高い義歯を世に送り出し愛用されてきました。

製作年度の刻印はFDCブランド義歯への自信の証です。

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8.FDCブランドの研究開発に終りはない

FDCは現在の技術に満足していません。耐久性や美しさ、さらに体に対する優しさなど、 まだまだ解決しなければならない多くの技術課題が残されています。とりわけ患者さんの感性に ふさわしい美しいお口元を再現するための審美技術の研究はもっとも難しい課題として 永年取り組んでいます。数多くの美術館めぐりから日本の伝統工芸の世界まで日本的美意識の追求は現在も続いています。