本章はFDC式の歯周病治療を理解するために必要な医療情報を中心に構成されています。そのため歯周病に関する一般的な病因論は他のHPに多く掲載されていますので、それらをご参照下さい。また、感染論、細胞間シグナル伝達などに基づいた病因説明などは専門的すぎますので別の章でわかりやすい形で情報提供したいと考えています。
それではFDC式の歯周病治療の考え方と治療技術をご覧下さい。
歯周病は歯周組織付近に存在する病原微生物(細菌)が歯周組織の免疫力より強い場合には発病します。歯周組織の免疫最前線が破られれば細菌が組織内に侵入、組織構造を破壊することによりエネルギーを獲得し増殖しはじめた状態が歯周病のはじまりです。
しかし、歯周病は歯周組織の構造や免疫力の強弱、細菌の悪性度といった局所的な要因だけでなく、加齢や基礎疾患、あるいは長期のストレスなどの影響をうけるためより悪化します。
注2)基礎疾患・・・主として血液(血管)や代謝などに関連する全身性の疾患で高血圧、糖尿病などがあり、慢性心不全、重症肝障害、慢性腎不全、膠原病(リューマチ)などの病気
特に持病をもちながら長期のストレスに曝されている中高年の方は全身の免疫能力は45才前後から急速に低下しますので「悪性度の高い細菌」が歯周ポケット内に繁殖していますと急速に病状が進行する場合があります。気がつくと歯の周囲から血や膿がでるだけでなく痛みや腫れが生じ、歯並びが乱れ口臭もするようになります。
さらに加齢が加わりますと歯の周囲の骨(歯槽骨)が薄い方の場合、前歯や上顎洞に近接している上顎の臼歯などでは歯を支えている骨の病的破壊によって腫れたり痛んだりするだけでなく一段と歯の動揺が大きくなり、他の人より早く歯を喪失します。
歯周病による出血や腫れなどは直接、自分の眼で確認することができますが、それが症状のすべてではありません。しかし、歯周病という病名のためか歯肉の病気で、はやく受診さえすれば歯周病にならないという認識不足や相当に進行した歯周病にもかかわらずブラッシングでなおせる、などという誤解があるようです。
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