FDC Now

・ウルトラ・ファインバブル(UFB)による除菌法運用開始

ご挨拶を更新。

1.まず、「う歯(むし歯)」について考えよう

この章では歯の弱い人や再治療を繰り返している患者さまに必要な医療情報を提供しています。

さて、FDCは最初の「う歯」治療が、その後の歯の運命を決めると考えていますので患者さんに「う歯」について少し詳しく知って戴きたいと考えています。また、「むし歯」の穴の充填行為は治療ではありませんので、この点も誤解のないようにして下さい。

1−1.「う歯(むし歯)」の治療は本当に簡単?

「う歯」と歯周病は歯の喪失原因となる感染性の2大歯科疾患です。しかし、一般的には「う歯」は痛くならないうちに早く、充填をしてもらえば一件落着、後はしっかりホームケアをすれば問題なし、と簡単に考えられているようです。そのため再治療が生じると、「どうして、むし歯ぐらいの治療で・・・・」と、その悩み相談をめぐって医学的根拠に乏しい意見(一部の歯科医も含めて)が多数寄せられています。

しかし、再治療を繰り返す症例を経験則に基づいて「歯科医の手技向上」や「患者さんの熱心なホームケア」に期待しても解決は困難です。問題を根本的に解決するためには「象牙質の構造や免疫機能」、さらに「病巣部のバクテリア群の特性」などを「客観的に診断する新しい臨床技術」が開発されなければなりません。仮説と経験則に頼っている現状では一般に考えられているほど「う歯」の治療は簡単ではない、といえます。

注)本HPではむし歯(デンタルカリエス)や歯周病(ペリオ)などの原因となる微生物の総称を
  バクテリア(Bacteria)としています。

1−2.歯は象牙質の構造や象牙細管/歯髄複合体の機能に差がある

人の歯は同じように見えますが,顔が違うように実際の歯でも「象牙質中の象牙細管の形態や配列密度(Photo−1)が異なります。また象牙細管/歯髄複合体(dentin/pulp-complex)の免疫機能にも強弱の差がみられます。(Photo−2)しかし、再治療を繰り返す症例を経験則に基づいて「歯科医の技能向上」や「患者さんの熱心なホームケア」に期待しても解決は困難です。

問題を根本的に解決するためには「象牙質の構造や免疫機能」、さらに「病巣部のバクテリア群の特性」などを「客観的に診断する新しい臨床技術」が開発されなければなりません。仮説と経験則に頼っている現状では一般に考えられているほど「う歯」の治療は簡単ではない、といえます。

Photo−1 象牙細管(A構造)
(高密度,規則的な配列)

Photo−2 象牙細管(C構造)
不規則な細管配列で細管/歯髄複合体の免疫力は弱い

バクテリアが容易に侵入、増殖(感染)しているのが観察される。 (青色部分)

1−3.歯の特性に差がある場合、定型治療では治療結果に差が生じます。

「歯の構造や象牙細管/歯髄複合体(dentin/pulp-complex)の免疫力や修復力が異なっている」にもかかわらず、同じC2の「むし歯」ということで定型治療を行なえば、処置後の結果に差が生じるのは自明です。

なぜかと言えば、処置歯の構造が脆弱であれば歯の破折などが生じやすく、また細管/歯髄複合体の免疫機能が低ければ象牙質内部の残存バクテリアが増殖するため修復後、短期間で痛みなどが生じます。このように歯の諸条件が異なっているにも関わらず定型的な治療を行ない「歯科医の腕によって同じ結果が生じる」と、考えるのは合理的な思考とはいえません。

注)C2・・・象牙質にできる中程度のう蝕「むし歯」

1−4.「う歯」病巣部のバクテリア群の強弱によっても処置後の経過に差が生じます。

「う歯」は混合感染症ですから病巣部はミュータント菌や乳酸桿菌に限らず多種多様で各々強弱の異なるバクテリアが存在しています。さらに同じミュータント菌であっても遺伝子で分類すれば18種が存在し、各々に特徴があります。この他にも歯科薬剤に対する耐性菌だけでなくpH12.5の強アルカリ環境下においても生存する強力なバクテリアなども存在しています。

さらに混合感染症の「う歯」の場合、病巣部の組織に対するダメージは個々のバクテリアの強弱よりも多様なバクテリア群によって「合成されたバクテリアパワー」(バクテリア・クオラムセンシング)の強弱によって決定されます。感染症治療は「細菌学的根拠」に基づいて行う以上、病巣部バクテリアパワーを正確に判断し、適確に制圧するか、否かによって処置後の経過が異なります。

1−5.歯の弱い患者さんは現行の「う歯」治療術では再治療が生じる場合がある。

すでに述べたように、「う歯」治療において歯質の構造や免疫機能、あるいは病巣部のバクテリア群の分類など解決しなければならない課題が多く存在します。このように不確定要素があるにもかかわらず定型的な処置を行なえば、いわゆる「歯の弱い」といわれている患者さんの場合には少なからず再治療が生じる場合があります。

1−6.「う歯」の治療術から治療技術へのパラダイムシフト

未だ再現性の高い「う歯」治療技術(修復技術ではない)が確立されていないのが現在の歯科治療の水準であり保険診療の給付も、この基準に基づいています。しかし、FDCが考える局所的な「う歯」の治療技術は「細菌学的根拠」に基づいた診断論理と治療理論によって
構成されると考えています。

2.FDC式「う歯」治療

2−1.FDC式「う歯」治療の概要

FDCの「う歯」治療の概要は以下の通りです。なお、一般的な「う歯」の検査や処置の説明は割愛いたします。

  • ここで扱う対象の「う歯」は主に象牙質カリエス【C2〜C3】が中心です。
  • 治療原理は「3.FDCの治療原理」をご参照下さい。
  • 「う歯」は感染性の疾患ですから「細菌学的根拠」に基づいた診断・治療を行ないます。
  • X線検査やCCDカメラからの画像情報により正確な病像を把握します。
  • レーザースキャンにより病巣の最深部を検出します。
  • 位相差顕微鏡検査などにより病巣部の「バクテリア情報」や象牙象牙細管の構造を分類します。
  • 治療方法は病巣部のバクテリア群に適応した制圧法(溶菌・除去)を実施します。
  • バクテリアによって生じた象牙質のダメージ組織を回復します。

以上がFDC式の「う歯(むし歯)」治療の概要です。<充填などの修復処置は治療ではない>

3.FDC式「う歯」治療の実際

3−1.問診

1)来院までの経緯

47才(女性)、充填物の歯が痛むため2ヶ所の医院を受診するが、いずれの医院も一時的な症状として数回の処置で治療完了、やはり痛みが気になるために当院に転医したもの。

2)問診の重要性

症状について具体的に現在の症状や今で経過について詳しく問診致します。次に既往歴や家庭、あるいは職場での心身の疲労状態などをお聞きします。簡単な「むし歯」の治療であっても転医を繰り返す方については、これらの情報を詳細に掌握していますと正確な診断が行えるだけでなく治療経過や予後についてもあらかじめ予測可能となります。

注)心身が疲労状態であれば歯の症状は強く顕われます。理由は「心身」が主(上位)で
  歯が末(下位)だからです。このような心身状態の患者さんは治癒状態も悪く、
  治療期間も長引く傾向があります。

3―2.むし歯の痛む原因を捜す

1).視覚検査

さて、問題の「むし歯」の原因を捜すために基本検査の視診「Photo−3」やレントゲン検査
「Photo−4」を行ないます。

Photo−3.視覚検査
(肉眼でみた歯のサイズ)

修復後7年経過するが変色、破折などはみられず、CCD画像支援システムによる拡大画像からも異常は認められない。

Photo−4.第2大臼歯レントゲン画像

レントゲン画像(Photo−4)からは第2大臼歯の充填物周囲には明瞭な「むし歯」の影が認められない。しかし、黄色矢印の部位に第3次象牙質の形成が認められます。この変化像から歯髄の持続的で緩慢な炎症反応が推定されます。

2).しばらく様子をみるか、思い切って充填物を除去するか

症状は軽微、しかも充填物の辺縁封鎖は完全です。しかし、レントゲンの画像情報からは軽度の「むし歯」の存在が疑われる程度です。これでは前医2名が金インレーを除去せず要観察の判断も無理からぬ事です。しかし、これでは痛みの原因が不明のままになります。原因を解明するためには金インレーを除去する必要がありますが決断すべき決定的な根拠が不足しています。これが今までの検査法の限界です。

3―3.レーザー利用による新しい「むし歯」の検査法

そこで問題の歯の周囲をレーザー光で走査(スキャンニング)させることにより象牙質の微細な崩壊部やクラック(ひび割れ)を検査致します。その結果、充填物の下方に深い「むし歯」を示す「99」(Photo−5)の数字が表示されました。レントゲンの推定位置と合致しますので充填物を除去します。従来の検査法では、このような充填物直下の微細な「むし歯」やクラックを検出することは困難でした。

Photo−5.
検査値99を示す

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ダイアグノデント「KaVo社製・(ドイツ)」
この検査機器によって患者さんの早期病状が確認され、以後の処置により症状が解消されました。早期受診にもかかわらず検出技術のレベルが低ければ病状進展による強い痛みが生じてから治療を開始するということになります。
「う歯」の早期発見はミクロサイズの検出レベルを向上させることによって実現します。

3―4.金インレー除去後の「むし歯」の状態

金インレー除去後、CCD画像支援装置により病巣部を拡大すると「むし歯」のコロニーを確認(矢印)することができます。画像精査の結果、充填物の辺縁封鎖が十分におこなわれており、接着剤の付着状況ならびにコロニーの分布状態から、この「むし歯」の原因は外部からの感染ではなく形成時の残存バクテリアによるもの、と考えられます。(Photo−6.)

Photo−6.
金インレー除去後の「むし歯」の状態

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残存バクテリアによって形成されたコロニー(矢印)

3―5.位相差顕微鏡によるバクテリア検査

病巣部に多種類のバクテリア活動を認める。FDC「バクテリア制圧マニュアル」に従い、多様な制圧法を適用し、制圧(殺滅・除去)します。病巣部は密閉された空間であっても多様なバクテリアが存在する以上、偏性嫌気性菌だけでなく通性嫌気性菌や好気性菌の制圧も必要です。

Video−1. 病巣部のバクテリア

「軟化牙質(病的組織)」を徹底的に除去したにもかかわらずバクテリアが大量に存在しています。位相差顕微鏡の世界・「むし歯」この例でわかるように機械的な清掃だけではバクテリアを十分に除去できない。また、「むし歯」は「ミュータント菌」単独で作られるのではなく多種類のバクテリアによる「混合感染」だということです。治療は病巣に存在するバクテリアを制圧(溶菌・除去)することです。

3―6.バクテリアの制圧(溶菌・除去)と確認

Video 2.バクテリア制圧(溶菌)

バクテリア活動は停止しており、バクテリア細胞壁の破損がみられます。象牙質【分類A,B】の場合の制圧は数回で完了しますが、象牙質【分類Bの一部、C】の場合は象牙質の広範囲にコロニーを形成しているため制圧回数が増えます。

Video 3.バクテリア除去後の状態

殺滅されたバクテリアによる毒素の影響を除くために、バクテリアの死骸を洗浄、除去します。

3―6.象牙質―歯髄複合体(Pulp-Dentin Complex)の治癒促進

バクテリア制圧(殺滅・除去)に成功すれば、バクテリア毒素の産生がストップしますので「象牙質―歯髄複合体(Pulp-Dentin Complex)」に対する刺激は減少し、痛みは消失します。細菌毒素や炎症性産物でダメージをうけた「象牙質―歯髄複合体」をレーザー、東洋医学処置などによって治癒を促進させます。これらの処置によって抜髄処置(歯髄除去)が減少します。

3―7.「むし歯」治療の完了条件

FDCの「むし歯」治療では症状消失を治療完了とみなしていません。再治療のリスクを低下させるためには、まず原因のバクテリアを「バクテリア制圧技術」によって殺滅・除去します。次に、症状については象牙質―歯髄複合体(Pulp-Dentin Complex)などの組織に生じる炎症症状を「レーザー照射」と「経絡調整」とによって回復させます。

むし歯治療は感染症治療ですので2種類の基本処置が治療完了の条件です。

4.診療支援システム

4ー1.診療支援システム

「う歯」に対して精度の高い治療を実施するためにはまず3つの医療情報が必要です。最初に肉眼では識別が困難な「う歯」部位の早期発見に必要な「歯質破壊度情報」、次に病的組織を十分に観察することが可能な「画像情報」、最後にもっとも重要な病巣に存在する「バクテリア情報」です。

診療支援システムから提供された多様な情報を統合化することによって感染症治療に必要な高精度の診断とタイムリーで適切な治療の一体化が可能になります。

  • ダイアグノデント・・・・
    →むし歯、あるいは歯の微細なクラックを検出する

  • 画像支援システム・・・・
    →病巣部を大きく見やすくする

  • 位相差顕微鏡・・・・・
    →見えないバクテリアを可視化する

(1)むし歯の検出と可視化

経験による感覚検査よりもレーザー検査法の優れている点については【3.FDC式「むし歯」治療の流れ】において既に述べています。以下に示します画像は他院で処置の必要なし、要観察と言い渡された症例ですが【診療支援システム】により病巣を検出、手遅れにならずに治療された症例です。いずれの症例もレーザー検査法【ダイアグノデント】と【画像支援システム】の拡大画像により病巣を容易にまた、短時間で確認しています

Photo−7 充填物の除去前

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拡大画像からは異常が見られず、ダイアグノデント検査値(94)により「むし歯」の疑い濃厚

Photo−8 除去後の病巣部

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充填物の除去後、接着剤の下に広範囲の「むし歯」を確認

Photo−9.充填物下の微細なマイクロクラック

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2歯科医院を受診するも痛みの原因不明。ダイアグノデントのスキャンによって特定部位に異常値を示す。充填物を除去後、拡大画像からのマイクロ・クラック(矢印)を発見。咬合時の痛みの原因は微細なひびにもかかわらず歯髄部付近に達していたため生じたものである。

以下はレーザースキャナー「むし歯」検出システムの機能。

  • ●充填物の下や冠の内側の隠れた「むし歯」の検出
  • ●発見困難なマイクロカリエスの検出
  • ●歯の微細なひび割れを検出
  • ●「むし歯」の進行度がわかる
  • ●X線被曝量を低減することができる

(2)見えないバクテリアを見る・・・・・→位相差顕微鏡(バクテリアデータベース内蔵型)

5.位相差顕微鏡の世界